韓国の言葉で、「相思華」と言われる花がある。
花が咲く頃に葉がなく、葉が生える頃に花は散っている。
「花は葉を想い、葉は花を想う」。彼岸花のことを「相思花」と称する所以である。

万葉の昔、「こい(恋)」という字には「孤悲」という字があてられた。英語の「miss」には「~がいなくなって寂しい」という意味がある。想う人が目の前にいないときに恋心が募るというのは万国共通であるらしい。

さて、その彼岸花。
昔例会で不用意に口にしてえらい目にあったものだが(彼岸花は毒草である)、その燃えるように赤い花が田のあぜに咲く頃、収穫の季節を迎えた。シルバー・ウィークなどと巷では言われるが、実りきった稲穂は黄金色になびいている。

水田の多い農村地帯には通常、ライスセンターなる施設が置かれ、田植えに適した状態に育った苗を買うのだが、今年は家の裏に苗床を造り、発芽させた苗を植えた。うるち米のコシヒカリ、もち米のスズハラ。育苗にあたっては、お向かいの「壇原さん」にいつもながらご協力頂いた。お父さんありがとう。

田植えは通常、機械で行う。というより今は米作りに関するほぼ8割以上の作業にそれぞれ便利な機械がある。
しかしOSKが行ってきた稲作で使われる(エンジンその他動力付の)機械は基本的には

耕運機(荒起こし~代掻き、畑での作業)
バインダー(稲刈り)もしくはコンバイン(稲刈り~脱穀)
精米機

の3点である。すなわち田植えの作業については毎年メンバー総出で、まさに裳裾濡らす早乙女の如く1列に並び連休一杯かけて終わらせるのである。

1枚の芝生のようになった苗の根を切らぬように外し、あらかじめ田の全体に投げ入れる。手持ちの苗を植え終わった頃にちょうど補充用が転がっているように。
1列に並び、等間隔に印のついた紐を頼りに苗を植えていく。田植えをいかにきれいにまっすぐ行うかによって、後の収穫の手間が格段に変わってくる。

田植えが終わると、収穫までは水加減の調整と、雑草とり、稗抜きが主な仕事である。今年は稗防止策として、試みに糠を撒いたりもしてみた。
畑仕事をし、野菜を楽しんでいる間に夏が過ぎ、今年もようやくこの時期を迎えた。
シルバーウィークの時点でまだ少し青すぎるものを残し、刈り取った稲を稲穂し台に掛けていく。
残り少しと、もち米は次の連休の仕事になりそうだ。
収穫が終われば、適度な水分量に乾燥させ、脱穀、精米の後、世界で最もうまいごはんにありつける。
今年は梅雨の前後が半端な季節で、イモチ病にも悩まされた。しかし地元の人の見立てでは、1本の稲穂に実った米の量はなかなかのものらしい。
どれだけの量の米がとれるだろうか。
収穫祭が、楽しみである。