針江の町には大きな魚屋さんがあり、その敷地の中にある井戸には小さな子どもなら乗れるんじゃないかと思うほどの大きな鯉が泳いでいる。大きすぎて芸の一つでも覚えそうだ。
中から現れた魚屋さん。
出刃包丁を逆手に持ち一言、
「わしに出刃握らしたらとんでもないことなるでぇ」
いや、あんた出刃商売道具だから。
そして取り出して来たのはこれまた大きなビワマス。2匹。
琵琶湖にしか住んでいない、固有種だ。これもまた特別大きい。
町の方のご好意により頂いた特大のビワマスを、
アルミホイルに包み、たくさんの野菜と共に味噌を塗り、
じっくり弱火で1時間。
特性のちゃんちゃん焼きだ。大人子ども14人で2匹を食い切れませんでした。
先払いで食ってしまったので、がっつり働かなければならない。
というわけで、地区のお寺の池で、藻刈りをお手伝い。
池の中に入って、わんさか生えた藻をちぎる、引っ張る、投げる。
しかしここで大きなアクシデント!
池の中で大暴れしていたら、突然指先に激痛が!
池の上に生えている木から、イラガの幼虫がばらばらと落ちてきていたのだ。
それから子どもはビビッて藻刈りよりイラガ取りに夢中だ。
しかし忘れてはならない。バイト料は既に腹の中なのだ。
ちなみにこの池にも水が湧いていて、喉が渇いたら直接飲んでいた。
とにかく生水という町は、水と共に生きるということを、考えさせられるというより、
実際に目の当たりにさせられる町だ。
魚や、ザリガニや、虫たちと人間が、水と共に暮らしている。
人のエゴで、勝手に汚い水を流してしまうと、
すべての生き物に迷惑がかかる。
水の恵みを受けている者の務め、
それは水を大切にすることだ。
美しい水の恵みを受けた魚や、野菜を思いっきり堪能すると、
この美しい水をいつまでも守りたいと、自然に思えるようになってくる。