子ども達は夏の特別教室のみだが、
リーダーはそれに加えてGWの山菜教室や、夏前後の準備と後始末など、年に何回も熱田に帰っている。
里帰りのようなもので、なまじ本当の実家より「勝手知ったる」わけだが、子ども達はそうではない。

特に今回は参加した子どもの半数が熱田初参加。
というわけで、熱田、おっちゃんの家に着くと、まずは家の造りや使い方、注意事項を学ぶ。

おっちゃんの家に着いてまず目に入るのは、大きな稲干し台だ。
熱田ではもう田んぼはやっていないが、秋に刈り取った稲を干すためのもの。
今は毎朝自分が寝たシュラフやテントを干すのに使っている。

その向かいにあるドラム缶風呂。
おれの兄貴分だった某リーダーがこのために特別にコーティングをした特注品だ。
このドラム缶風呂に注ぐ水道は手元で操作できない。
食堂の水道につながったコックをひねることで、長いホースを伝って水が流れていく。
毎朝の風呂掃除と、夕方みんなが入浴する頃、
「水出して~~~~~!!!!」
という声が響く。

家の縁側にはテントや浮き輪や、工作の道具、文房具などが並んでいる。
使った道具はちゃんとメンテして元の場所に。

廊下を入り、縁側の裏にはすぐにトイレ。
汲み取り式なので、定期的に溜まったものを処理する必要があり、
それは「お楽しみ会」などと呼ばれるインパクトNO.1行事だ。

両側のリーダー部屋を抜けると食堂がある。
酒瓶のケースに梁を渡し、コンパネを置いただけの簡単なテーブル。
気をつけないと食事中に崩壊だ。

川の上流からホースで引き入れた水がそのまま流れる水道は、
もちろん生水なのでそのままでは飲めない。
とはいえ塩素漬けの水よりよっぽど綺麗だが。

イモリ池の向こうには、キュウリやトマト、大根や小松菜の畑。
牛の飼料用の大きなトウモロコシ畑も広がる。

食堂を抜けると五右衛門風呂、通称「上風呂」と、その向いには大きな土蔵がある。
さらに歩くと、熱田の食生活の根幹、3つのカマド。
右から、釜や大きな中華鍋用の1号炉、
さらに汁物煮物用の2,3号炉。

カマドを越えて山を上がると、かつてのリーダー達が手作りで立てた「上小屋」。
ここが大のお気に入りで、毎晩こっちで寝る者もいる。
板張りの硬い床なので翌朝体が痛くなるのだが。

さて、2階建て+屋根裏の母屋は、
上から、物置として使っている屋根裏、
子ども部屋として使う2階、
そして先に述べたリーダー部屋と、おっちゃんが飼い育てている但馬牛の牛小屋。

ちなみにこの家には牛達が生活スペースに入らないように、また山を下りないように、
2箇所に有刺鉄線が張られているのだが、
進入禁止の部分を除いて基本的に熱田の牛達の行動範囲は自由だ。
牛小屋とその周辺に作られた広場の中でその生活のほとんどを過ごし、用意された草だけを食べて育つ他のほとんどの肉牛と違い、
山の斜面を自由に歩きまわり、いろいろな種類の野草、山菜を食べる。
自然そのままの栄養をたっぷり取り入れた熱田の牛は、
肉牛として高い評価に繋がるのだそうだ。

ペットではない、家畜としての動物。
生活の為に育てる動物。
売ることを前提として育てる動物。
そして牛を育てて、売るという生活を続けてきた、おっちゃん。

この部分についてはまた機会があれば書いてみようと思う。