千歯扱(せんばこき)によるソバの脱穀。
お向いさんから頂いた格子に、大豆の枝を打ち付けて豆をはずす作業。
残っている大豆を収穫し、玄関前に干す。
野焼きと同時に、来年の準備の為畑に耕運機を入れる。
熟れた小豆を収穫。

等々の作業を2日からの連休で終わらせ、
今回の連休はその残務といったところ。
季節は確実に冬に近付き、収穫した作物を実際に食べられる状態に持っていく作業が中心である。

今回の作業の中心は豆。
智頭で育てている豆は大豆、黒豆、青豆、小豆の4種類だが、そのどれもが厚い鞘に覆われている。
今回の作業は前回に引き続き、その鞘から豆をはずし、豆と空になった鞘を分ける仕事だ。

唐箕(とうみ)、という道具がある。
入り口は1つ。出口は3つ。2人で使う。
1人は取っ手を回し、手動の扇風機で風を起こす。取っ手の高さが佳奈子の身長にぴったりである。おれや石元パパも交代したが、背丈が合わないというのは大変に体力を消耗する。

もう1人は上部の入り口に穀物を投入し、入り口の広さを調節し、それを落とす。
充分に実った穀物は1の出口へまっすぐに落ちる。
実りの甘いものや、鞘が開いていないものは2の出口へ。
ゴミやカスは風に乗って3の出口へ出て行く寸法だ。

ただし、豆類のように、入り口が狭いと鞘が引っかかり落ちない。逆に広くしすぎると束で落ちてしまい選別できない。
そういった種類は入り口を狭くし、ひたすら両手でかき混ぜて少しずつ落とす。これが今回のおれの主要業務だ。

同時進行で、豆の脱穀をしている。
稲の脱穀にも使った、足踏み式の千歯扱、「義士号」だ。

選別作業はとにかく埃との戦いだ。
始めて数秒で、視界が塞がる。
作業の合間に鏡をのぞくと、睫毛や髭、髪が黄土色に染まっている。

豆。
豆の外れた、鞘。
豆の入っている、鞘。
豆が入っているが、開いた鞘。

1日かき回していると、なんとなく感触がわかるようになってくる。
ああ、今豆がたくさん1の出口に落ちるな。
あ、今ゴミが3の出口から出て行くな。
そしてお目当ての豆がバットに落ちる音は、パチンコ屋のそれを想像させる。

並行して、2の出口から出た鞘を、叩いたり揉んだりして豆を出す作業。これらを気の遠くなるほど繰り返すと、1日が終わる。

腰や腕など1部分に多大な疲労を残し、やっとのことで収穫した豆。

今年はどんな料理にしようか。

 

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