ホームページのリーダー募集を通じ、GWよりOSKに参加している、すずきっちというリーダーがいる。
子ども相手の活動がしたいとOSKを探し、初めて参加した木曜会議(リーダーは毎週木曜に会議を行っている)にて「GW鳥取行くけど空いてる?」と誘われ、鳥取の自然の中で子どもと遊べると勇んで来てみたら、智頭の農作業はガチの大人向けであり、気が付けば庭で草刈機を回していた。
「おれは一体何をしているのだろう」と智頭から帰り、例会を経てこの週末、智頭での作業にそのすずきっちが自ら参加してきた。
聞けば、「飯を食いに来た」とのことである。
OSKのまかない頭は、代表の西村氏である。
OSKの歴史と共に、毎年多くの子どもとリーダーが集まる特別教室の食事を一手に引き受けてきた。
フィールドを智頭に移してからは月に約2回の農作業の折、我々リーダーのエネルギー源となる三食をも回している。
その西村氏の腕に、智頭で手ずから育て、収穫した新鮮な作物。
メニュー自体はシンプルである。
素材が新鮮な分、あれこれごまかす必要はない。
とは言え、西村氏が本領を発揮するのは煮物や揚げ物といった微妙な加減で味の深みが変わる料理であり、例えば西村氏の炊き込みご飯をかっすんは「腸がちぎれてもまだ食べたい」と絶賛している。
自然教室に長く残る人の共通点の一つは「食いしん坊」なことであり、かいくん、けいたくんなどの食べっぷりは見ていて本当に辟易、あ、いや、気持ちがいい。
すずきっちもそのタイプだったようで、山盛りのごはんが漫画のように減っていく。
大変上品な口のおかげで普通に食っても「まずいですか?」と聞かれる程食べるのが遅いおれからすれば、あれだけの食いっぷりを見せられたら作る側も気持ちいいだろうと思わざるを得ない。
既に彼の胃袋は西村氏に掴まれた。
ようこそ自然教室へってなもんである。
書き出しから思いっきり話が逸れた。
今回智頭での作業のメインは大豆の植え替えである。
寒冷紗(かんれいしゃ)という、限度以上の寒さや日光を防ぐ布をかけた畝の中で、あらかじめ発芽させておいた大豆の苗を、細い根を傷つけないようにして一度すべて掘り出す。裏の畑で芽出しをしたその苗を長石さんにお借りしている畑に運び、あらかじめ広くとっていた畝(うね)に等間隔で植えていく。最も原始的な畝立ての方法は地道に鍬(くわ)を振るうことだが、長く本数の多い豆の畝、先のブログで書いた「手押しの耕耘機」で畝を立てた。
手押しの耕耘機で「どのようにして畝を立てるのか」、ということについては文章で説明し難いのだが、車体本体、その後部に着いている耕耘の刃、その後尾中心にある車輪を「わざと地面に引きずるように」進んでいき、結果として耕された畑に車輪で等間隔の線引きをするという具合である。
畑に耕耘機をかけるときは、草もまだらに生え、石もそこかしこに埋まり、そういう土の上で簡単に足を取られぬよう、特別大きく硬いタイヤの回転を制御しなければならない。
歩いて追いつくほどの速度しか出さないものの、常に危険な障害物競走の体をなしている。
ついこの間「耕耘機は退屈」などと書いたが、退屈は退屈で、安全には神経を尖らせているのだ。
それほど困難な耕耘機を操って立てられた畝がこの写真。
まったくどこのどなたのたかしが引いたのかさっぱり見当もつかないが、惚れぼれとため息をつきたくなるような真っ直ぐ具合。
後の作業もさぞかし捗ることだろう。
ちなみに作業はすべて終わらなかったのだが、今回は時期ということもあり、田畑の作業を早めに切り上げ、モミジイチゴとグミの実を採りに、拠点である野原(のばら)の家から西、OSKの子どもらも特別教室でおなじみの奥西のさらに奥を散策した。
この季節、山は来る度に青く深くなり、川の水は泳ぐにはまだ冷たいが魚たちは明らかに活発さを増している。
7月の頭に再び智頭に行く頃には、収穫できる野菜も増えてきていることだろう。
ズッキーニも大きくなっている。
ナスは、他の作物はちゃんと育っているだろうか。夏を迎え、3週という空白期間が致命的な程に、田畑は劇的に変化する。
稲は、変わりなく育っているだろうか。