智頭といえば、周囲を山や川に囲まれた絶好の遊び場。竹細工や川遊び、夜の探険など都会ではなかなかできないような刺激的な遊びができる環境が待っている。けれど、ただ遊んでいるばかりではいけないのが、小学校5・6年からなる奥西班。もう高学年である奥西班では、自分達で働き、自分達で生活することが一つ目標として掲げられ、遊びにいくにしても、生活を回すための食事や洗濯など、様々な仕事をほったらかしにしておく訳にはいかないのだ。


【かまどでご飯を炊く子ども達。煙が目に染みるけど、自分たちで試行錯誤した結果、火がつき大きくなるのはなかなかの満足感】

でも、だからこそ一つ一つの遊びが一層楽しい。自分達で頑張って手に入れたものだから、ただ楽しいだけでなく、深くいとおしい思い入れのある瞬間(ひととき)になる。
到着したばかりの頃は、食事の手伝いをサボって勝手に遊びまわっていた子達もいたものの、リーダーに怒られたり、自分達で料理をしていかないとご飯は勝手には出てこないことの意味を各々自省したり、一緒に遊んでいる友達が一生懸命手伝い働いているのを目の当たりにしたりしていく中で、自分が今何をするべきか考え行動していく様は、見ていて頼もしい。


【念願かなってSケン。頭と体をフル稼働して、無我夢中で遊ぶ】


【自分たちで作った、竹のお手製水鉄砲での水合戦】

お風呂は、近所の家庭のお風呂に入らせていただいた。茄子や胡瓜など収穫したての野菜をもらい、料理しておいしくいただいた。また、地域のお祭りの練習にも参加させていただいた。守り継がれた豊かな自然環境をはじめ、地元の人の温かみや支援のありがたさを感じた。

【いただいた野菜を使った料理を美味しく食べる】


【お祭りの練習。輪の中に入れてもらい、必死で覚える】


【竹細工の材料となる竹を切る】

同じ“智頭”という場所なのに、奥西と野原ではまるで違う。共にいる人や見る位置によって独特の風景を映し出し、全く異なる思い出を脳裏に焼き付ける。そして目のくらむような日々は、瞬く間に過ぎ去っていく。
全体的にやんちゃなのは素敵な個性として終始一貫していたけれど、叱られる度に軌道修正を加えていくタフさと、本当に危険な事に関してはリーダーの指示を直ちに受け入れる賢さがあり、大きな怪我もなく無事に楽しく過ごせた日々でした。