最近の子どもたちの 4 割以上はキャンプをしたことがなく、2 割以上の子どもは昆虫を捕まえたことがない。そんな気になる統計が新聞に掲載されていました。マッチを擦る、鉛筆を削る、海や川で泳ぐ、野菜の皮をむく。かつてごく当たり前に思っていた経験をした事のない子どもも増えているそうです。その一方で、ここ数年の未曾有の大災害を経て、子どもたちも自分の力で「生きる」こと —「危険を自分で察知する」「自分で判断する」「周囲と協力して生き抜く」など— に向き合う必要性が問われはじめたことも、また事実です。

自然の中ではじける子どもたち

1973 年に発足した大阪自然教室では、約 40 年間、子どもたちと共に様々な活動を行ってきました。月に一度の定例会では、大阪の近郊に残る自然の中で、一日中泥だらけになって遊びます。夏・冬・春休みには、泊りがけの特別教室を行い、日常生活では決してできない経験をします。都会で見かけない生き物を捕まえ、冷たい川で泳ぎ、刃物と格闘しながら竹細工をする。夜になれば手の届きそうな星空を眺め、真っ暗な中で肝だめしをする。高学年になると、自分で割ったマキでご飯を炊いたり、自分たちで考えた旅を実現したりします。子どもたちは自然の中で様々な経験をすることで、五感を使って感じ、発見し、自分で考える力をつけていきます。

異年齢集団の中でたくましく

また活動の中で、子どもと子ども、子どもと大人が、遊びや共同生活を通して共に成長していく「共育」を目指しています。

学校や塾では、同年齢・身近な地域の子どもたちと接することが多くなります。一人っ子も珍しくなくなりました。自然教室では子どもから大人まで、世代を超えた様々な人が集まります。異なる年齢、価値観の相手と話し、遊び、説得し、対立する。悩み、怒られ、喜びあう。もまれながら人との距離感や繋がりを育てていきます。保護者の方から「心配しながら送り出した我が子が、たくましくなって帰ってきた」という言葉を頂くことも少なくありません。

慣れない環境で、恐る恐る一歩踏み出した子どもたちが、いつしか目を輝かせ、夢中になって時間が経つのも忘れる。
この不安定な時代だからこそ、そんな経験を一人でも多くの子どもに手にしてほしい。
私たち大阪自然教室はそう考えています。